もしも琶月が・・・・(前編)


琶月
「あぁ〜神よ〜!」

「呼んだ?」
琶月
「え゙っ。」





・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。




「つまり、キュピルのように頼られ、ジェスターのように愛らしく、ファンのように博識であり、ルイのように恋をしたく、ヘルのように逞しく、テルミットのように温厚であり、輝月のような鋼の意思を持ち、ディバンのような人生の哲学を手にし・・つまり活躍したいと?」
琶月
「はいっ!そういうことです!アーメン!」

「アーメン言えば何でも済むと思うなカス。」
琶月
「あああああああああああ!!!!!!!!!
神様にまで弄られてるーーーーーーーーーーー!!!」

「というか、ワシ足滑らせて君の夢の中に落ちちゃったのよ。どうしてくれるん?」
琶月
「凄まじい言いがかり付けられてる気がするんですけれど。」


「このままじゃ琶月が目覚ましてもワシ天界に戻れんのよね。」
琶月
「神も大変何ですね・・・。」

「・・・そうだ!君ちょっと天の宝珠って知ってる?」
琶月
「知りません。」

「すっぱり言う。噂通り無能の子のようだ。」
琶月
「あぁ、私は天界にまで馬鹿にされt(ry


「神の宝珠持ってきてくれたらキュピルのように頼られ、ジェスターのように愛らしく、ファンのように博識であり、ルイのように恋をしたく、ヘルのように逞しく、テルミットのように温厚であり、輝月のような鋼の意思を持ち、ディバンのような人生の哲学の経験値を琶月ちゃーんに上げるよ?」
琶月
「本当ですか!!!?私持ってきます!!!!」

「うむうむ、よろしいよろしい。」
琶月
「あ・・・でも、神様。その神の宝珠というのは何処にあるのですか?」

「慟哭の塔って知ってる?あれワシが作ったんだけど。」
琶月
「何か今サラッと凄い事言われた気がします。
・・・全然知りません。慟哭の塔ってナンデスカー?」

「この役立たずの女がぁっ!!」
琶月
「ひぃぃぃっ!!すいません!!すいません!!!!」

「目覚めたらファンなりキュピルなりに聞けぇ!!」
琶月
「はいぃぃぃぃぃっっっっ!!!!」

「・・・おほん。そうじゃな、本当に慟哭の塔を最上階まで登り天の宝珠を持ってきてくれるのであれば
琶月ちゃーんに報酬で上げる能力の半分を先にあげちゃおーう。」
琶月
「本当ですか!?ヤッター!」

「じゃが、一つ条件がある。」
琶月
「え?その条件って天の宝珠を持ってくる事ですよね?もう聴きましたから大丈夫です!」

「それは目的で条件じゃないわぁぁっーーーー!!!」
琶月
「ひぃーん!ごめんなさい!ごめんなさい!」

「慟哭の塔へは一人で行く事!良いか?」
琶月
「え?私一人何ですか?ボッチは嫌です。」

「はぁ〜・・・まじこの子だめだわぁ・・・神に背く時点で本当に無能だわぁ・・・。まじ喋り方変わっちゃうわぁ・・・。」
琶月
「わぁっー!この神様むかつく〜!」


「そうだ、人からミジンコに変えちゃおう。」
琶月
「あああああああああ!!駄目です!!わかりました!!一人で慟哭の塔ちゃんと登ります!!!そして天の宝珠持ってきます!!!」

「うむ。ちゃんと取ってくるんだぞ?それと、この事はいかなる者でも他言してはならぬ。良いか?」
琶月
「条件二つじゃないですか。」

「今日の更新をもしもシリーズからCHH(番外編)にしようかのぉ。」
琶月
「すいません!!!ごめんなさい!!!!誰にも言いません!!!」

「始めからそう言えば良いものを・・。では、目覚めるが良い。」
琶月
「はい!行ってきます!」



・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。



ガバッ

琶月
「起きた!!今何時。・・・え、午前三時・・・。・・・二度寝しよ・・・。


・・・・。

・・・・・・・・・・・・。





==午前七時


キュピル
「皆おはよう。」
ルイ
「おはようございます、キュピルさん♪」
ファン
「おはようございます。」
キュー
「うがー、眠いぜー。」
キュピル
「あれ、何でキューもう起きてるんだ?いつももっと遅起きなのに。」
キュー
「何か隣の部屋で寝てる琶月が超五月蠅くて寝れなかった・・・。」
ファン
「・・・クエストショップの方から誰か来ますね。」


バッ


琶月
「キュピルさーん!」
キュピル
「はいはい・・。琶月も朝から元気だな。」
キュー
「琶月いいいーー!今朝は五月蠅かったぞー!噛みつきの刑!!がぶっ。」
琶月
「あんぎゃぁぁっ!!・・・っと、痛がっている場合じゃありません!!」
キュー
「えっ。」

琶月
「キュピルさん!慟哭の塔って何処にあるのですか!?」
キュピル
「え?慟哭の塔?・・えーっと、カーディフから出発して・・・ケイレス砂漠に移動して・・。
噂によると砂漠の遺跡という場所から悔恨の砂漠という場所に出るらしい・・・。そこから慟哭の塔に行けるよ。
・・・でも急にどうしたんだ?」
琶月
「ちょっと慟哭の塔最上階へ言ってい参ります!!!」

キュピル
「あー、どうせ輝月かヘルに修行だとか罰ゲームだとか言われたんだろ?大丈夫、俺の方から何とかしてあげるからちょっと待ってt・・・。」
琶月
「いえ!自分の意思で。一人で行ってきます!!」




・・・・。


・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


目にもとまらぬ速さで、キュピルが琶月をソファーの上に寝かし、ルイは冷たい濡れタオルを用意し、ファンが最新医学について描かれた分厚い本を取り出し、キューが琶月に向かって内輪を扇ぎ始めた。

キュピル
「大丈夫か!?高熱か頭でも打ったか!?」
ルイ
「キュピルさん、濡れタオルです!」
ファン
「こ、こ、こ、こんな症状見た事ありません!」
キュー
「琶月ーーー!!目覚ませーーー!!!」
琶月
「・・・・・・・・・・・・・。皆私を馬鹿にするなーー!!


琶月が皆を払いのけ、一人道着姿でキュピルの家から飛び出して言った。

キュピル
「うおおぉぉ!?やばい!琶月何かマジだ!ちょっとあのまま放置したら絶対死ぬから追いかけてくる!!」
ルイ
「私も行きます!」
キュー
「アタシも行くぜ!」
ファン
「き、輝月さん呼んできます!」

全員それぞれ武器、必要な道具を手に持ちそれぞれ行動を始めた。


・・・・。

ジェスター
「ん〜・・?おはよう〜・・。何か騒がしかったけど何かあtt・・・あれ?誰もいない。あれ?あれ?」




・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。




==カーディフ

琶月
「止めても無駄ですよ!私は行くんです!!」
キュピル
「待て、早まるなって。」
ルイ
「はぁ・・はぁ・・。何か琶月さん足早いですね・・・。」
キュー
「暑いぃー・・・。」

キュピルがどうにか琶月に追いつく。

キュピル
「とりあえず目的を教えてくれよ・・。」
琶月
「慟哭の塔の最上階にある天の宝珠を取りに行くんです!」
ルイ
「天の宝珠ですか・・!?琶月さん、あれは昔の方が書いた伝記で実際にある訳では・・。」
琶月
「あるったらあるんです!」

皆を無視してズイズイ先に進む琶月。その決意に揺らぎがない。
慌ててキュピルとルイが琶月の足を掴み引きとめようとするが二人をズルズル引きずりながら進んで行く琶月。

キュピル
「・・・わーった!わーったから落ちつけって。こうなったらヤケだ。俺も一緒に最上階まで行ってやるよ。」
琶月
「え?本当ですか?・・・って、あ、駄目です!駄目です!!私一人で行かないといけないんです!」
キュピル
「ああ・・今日の琶月・・どうかしている・・う・・・・。また頭痛くなってきた・・。」
ルイ
「あ、頭痛薬です。」

ルイが何処からともなく頭痛薬を取り出しキュピルに手渡す。一連の動作に無駄がないと言う事は普段から繰り返されているらしい。
キュピルが琶月に聞かれないようにひそひそ話す。

キュピル
「ありがとう。・・・もうちょい待てば輝月が来るだろうから、そしたら琶月と一緒に行こう・・・。面倒だけど一緒に登るしかなさそうだ。」
ルイ
「分りました・・・。殆ど装備持ってきていないので急いで取りに戻ってきますね。」
琶月
「ひそひそ話ししても駄目です!!ちゃんと聞こえていますからーーーー!!残念!!ギリィィッ!」
キュピル
「うぜええええええええ!!!!」


輝月
「琶月!」

輝月を待とうと決めたその10秒後、ちょうど輝月がやってきた。

キュピル
「お、良いタイミングだな。」
輝月
「琶月よ、お主が強くなろうと努力しているのは分る。じゃが、いきなり慟哭の塔に行かぬともよい。
ワシが今日みっちり稽古をつけてやるぞ?」
琶月
「し、師匠ぉ〜・・・!・・・でもすみません!!私はどうしても慟哭の塔へ行かなければいけないのです!これは神の意思なんです!!!
あ!!別に神様に合った訳じゃなくてー!夢の中でー!!あーー!!!!違う違うーー!!!」
キュー
「あ〜あ。琶月が壊れちゃったぜ。頭の中に神様でも済みついちゃったんかなー。」
琶月
「(あながち間違ってない・・・。)」

輝月
「・・・どうしても行くと言うのか?」
琶月
「はい。申し訳ありませんがいくら師匠が引きとめても私は!一人で!行きます。」
輝月
「・・・・では私も行こう。」

琶月が砂の上でずっこける。

琶月
「聞こえませんでしたか!!?私一人で慟哭の塔へ行きます!!」

キュピルはそう言うだろうと予測していたのか会話に割り込む。

キュピル
「琶月、すまないけどそこの喫茶店で一緒に話しをしないか?
何が琶月をそうさせたのか分らないが・・・琶月が生きて返って来ないのは俺はとても嫌だ。」
琶月
「キュピルさん・・・。」
キュー
「琶月ー、とりあえずあそこの喫茶店でアイス食べようぜー!」
琶月
「あ、はいー!・・・って!!た、食べたいですけど!時間がないのでもう行きます!!!」
輝月
「最後の食事かもしれぬと言うのにか?琶月よ。」
琶月
「そんな事絶対になりませんから安心してください。」

輝月が驚いたような表情を見せる。

輝月
「・・・お主、少したくましくなったか?」

キュピルが輝月に近づきさっきよりももっと小さな声でひそひそと呟いた。

キュピル
「輝月。無理やりでもいいから琶月をそこの喫茶店で待たせてくれないか?その間にルイと一緒に一旦自宅に戻って装備を整えてくる。
何が何でも琶月を一人で慟哭の塔へは行かせられないからな。」
輝月
「うむ、よかろう。」
琶月
「あーー・・・今何を話しました?」
輝月
「琶月!!!」
琶月
「はいっ!!」

琶月が条件反射でビシッときょつうけをする。

輝月
「・・・とりあえずどうしてもお主と話しがしたい。そこの喫茶店で話しをしよう。」
琶月
「うっ・・・で、でも・・・。」
輝月
「別に話しをしてからでも遅くは無かろう?」
琶月
「・・・わかりました・・・。師匠がそこまで言うのであれば・・・。」
キュー
「あー!待ってくれー!アタシもそこの喫茶店でアイス食いたいぜー!」

輝月とキュー、そして琶月が渋々喫茶店に入るのを目にしてからキュピルとルイはワープポイントへ移動し自宅へ戻って行った。



・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





一時間後。キュピルが重鎧と重盾を身に着けてやってきた。その後をルイも大きな装備箱を背負ってやってきた。

ルイ
「目的があれですけれどキュピルさんと一緒に本気装備で何処かに行くのは久しぶりですね。」
キュピル
「そうだな。最後にこんな装備で行ったのは何時だったか・・・。
・・・・ん?琶月は何処だ?」

喫茶店に辿りつくが、そこにはアイスを食べているキューと輝月の姿しか居なかった。

輝月
「キューよ、この白いソフトクリームというのは美味じゃな?」
キュー
「輝月は甘党かー。・・・あ、お父さん。」
キュピル
「キュー。琶月は?」

キュピルがキューに問い掛ける。

キュー
「ん?何か『皆でスムーズに慟哭の塔へ行くようにするために、マジックテレポートサービス屋の場所を調べに行く』って言って行っちゃったよ。」
キュピル
「そっか。・・・・って、それ何分前の話しだ?」
キュー
「えーっと、40分ぐらい前に?」
キュピル
「そこにカーディフの看板があるのが見えるだろう。」
キュー
「うん。」
キュピル
「マジックテレポートサービス屋の場所が書いてあるな。」
キュー
「うん。」
キュピル
「琶月先に一人で行っちまったじゃねーか!!!!」


輝月とキューがガタッと立ち上がり「しまったー!」っと二人で声をあげる。
あまりの失態に思わず突っ込みたくなるがグッと堪えて出発の準備を進める。

キュピル
「何が琶月をそう動かしているのか全く持って分らない!急いで慟哭の塔へ行こう!」

キュピルが先頭に立って進み始めた。



・・・・。

・・・・・・・・・・・。






==慟哭の塔入口


琶月はカーディフフリーマーケットまで移動しマジックテレポートサービスを利用して慟哭の塔入口まで移動する。
塔は天高く伸びており、何処まで続いているのか見えない程高く伸びている。
雲一つない快晴だが塔の最上階が見えないため無限に伸びているのではと思わせられる。

琶月
「この塔の最上階に・・・神様が望む天の宝珠があるんですね・・・!やってやるーやってやるぞー!」

琶月が万歳ポーズ取りながら塔内部へ突撃する。

・・・・。

そして40分程遅れてキュピル達も慟哭の塔へとやってきた。

キュピル
「さて・・・。ウィングOK・・神鳥の羽もOK・・・。いつでも帰還出来るっと。危なくなったら途中帰還しよう。」
キュー
「よーし、アタシはやるぞー!」
キュピル
「(最初に脱落するのは誰か・・。琶月かキューの気はするが・・。琶月が死体となって発見されない事を心から祈る・・・。)」

全員が慟哭の塔へと足を踏み入れる。
塔内部へ侵入した瞬間、入口の扉は固く閉じてしまった。

ルイ
「・・・キュピルさん。ちゃんとウィング使えますよね?」
キュピル
「問題ない。そこは安心していい。」
キュー
「試しにアタシが使ってやろうかー?」
キュピル
「今はやめておけ・・。それより塔内部が暗すぎて何も見えない。・・・嫌な臭いがする。早く、誰か明りを。」

ルイが魔法を唱え塔内部を明るく照らす魔法の光を召喚した。
塔内部は明るく照らされた瞬間、目の前の惨状に四人は驚愕した。

キュピル
「し、死体だらけだ・・・。」

目の前に広がっていた光景は大量のモンスターの死体だった。
モンスター事態は見た事のあるモンスターばかりだが、ここの塔に住みついているモンスターは
皆魔法の影響でも受けて凶暴化しているのは非常に強い。そもそも一体だけでも手こずるのだが・・・目の前にあるモンスターの死体はざっと見て20体近くはいるだろう。

そのモンスターが死体として残っているっていう事は・・・?

キュピル
「琶月が・・・やったのか・・・?血の匂いがしたから最悪な結末を覚悟していたが・・・この結末は・・・全く予想だにしていなかった・・・。」
輝月
「・・・琶月・・・。」



・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。



琶月
「えええーーーい!!」

琶月が三体のログルベグルと二体のダックウォーリアーと戦っている。
ログルベグルが一斉に矢を放ち琶月を蜂の巣にしようとしていたが、琶月が姿勢を低くして攻撃を回避する。
その瞬間を狙ってダックウォーリアーがシミターを持って突き刺そうとしてきたが、姿勢を低くしたまま地面を思いっきり蹴って前に飛び出しダックウォーリアーの膝を刀で切断する。
もう一体のダックウォーリアーの背中に回り、勢いに任せて膝蹴りを繰り出す。
ダックウォーリアーの背中に飛び移るようにして強烈な一撃を浴びせ、うつ伏せに倒す。
倒れた所をすかさず背中の上から刀を突き刺し命を奪う。
ちょうど刀を突き刺した瞬間にログルベグルが再び一斉に矢を放ったが琶月が瞬間的に魔法を詠唱し自信を鋼鉄の膜で覆い矢を全て防ぐ。
更にその状態でログルベグルに素早くぶつかり、膜を破って刀を振り即座に二体を倒す。残った一体は琶月の強さに驚き、ジリジリと後退していき、逃走を図った瞬間に琶月が刀で敵を貫き抹殺した。

この階に住む敵も全員倒した。

琶月
「これが・・・神の力・・・!それもまだ半分の力!
わー!今なら数学も物理も魔法だって何でも出来る気がします!!」


・・・聴力も優れている今、遠くの些細な音も聴き取れる。
非常に小さな音だが・・・誰かが塔を駆け上っている音が聞こえる。

琶月
「げげ・・・、まさかキュピルさん・・・!?い、急がないと!!」


この時琶月は既に10階まで登っていた。



・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




慟哭の塔5F。
琶月を追って塔を登り続けてきたキュピル一同だが突如何処からともなくモンスターが現れ死闘を繰り広げていた。

キュピルが剣を構え、目の前にいる弓を持った牛人モンスター、ログルベグルを叩き斬ろうとする。しかし二歩、三歩足りずログルベグルはバックステップを繰り返しながらキュピルに矢を連射する。

キュピル
「おっとっ!」

身を翻して間一髪の所で矢を避ける。重鎧を身に着けているとはいえ、ダメージが積み重なれば鎧はいとも簡単に砕けてしまう。
こんな所でダメージを負う訳には行かないのだ。

ルイが即座に機関銃を組み立て上げ台座の上に乗せると機銃を敵目掛けて正確な連射を繰り出した。
鋼鉄の弾が敵の頭に命中し、何体か仰向けに倒れる。そこをキューがすかさず幽霊刀でトドメの一撃を繰り出しモンスターを倒していく。

輝月
「飛び道具がワシに通用すると思うな。」

輝月が高速でログルベグルに接近し、両足を斬る。ガクッと膝を落としたログルベグルの顎に刀を突きたて脳天目掛けて突き刺した。
勢いよく引き抜き、辺りに血飛沫が舞う。

キュピル
「うおりゃぁっ!」

キュピルが獣人族であるダックウォーリアーに接近し、腕を掴むとそのまま壁に叩きつけうつ伏せに倒れた所を剣で一気に急所を刺した。
次々とモンスターを撃破していき、着実にエリアを制圧していく。
そして時間こそかかったが何とか全てのモンスターを殲滅する事に成功した。
キュピルが息を荒げ、額の汗を拭き取りながらその場に座り込んだ。

キュピル
「はぁ・・・はぁ・・・。くそっ、ここのモンスター・・・かなり強い・・・。」

決して自分達のメンバーが弱い訳ではない。ここのモンスターは例外的に皆強すぎる。
ここのモンスターを・・・琶月一人で全て殲滅しているのか・・?
長く休むわけにもいかず、すぐに四人は立ち上がって塔を登り始めた。
塔を登るたびに突如現れるモンスターの大軍。どのモンスターも見た事ある敵ばかりなのだが、現れるモンスターはどれも想像を絶するほど強い。
一撃でも敵の攻撃をまともに受けたら致命的なダメージを受ける緊迫した戦いが続く。
額に汗を流しながら、敵の攻撃を交わし、そして一瞬の隙をついて攻撃を浴びせる。敵が持ち直したら再び回避に徹し崩れたら攻撃。
その繰り返しだ。だが、これらの動作は全て完璧に行う必要がある。
緊張はあまりしていない。だが強い集中力の求められる場面が立て続けに起きているためあっという間に皆の気力は減っていく。


そして何とか塔10Fに現れたモンスターを皆倒す事が出来た。ここまでまだ誰一人脱落していない。
このメンバーだけでここまで来れた事は中々の上出来だろう。

キュピル
「はぁ・・・はぁ・・・。ちょっと休憩しよう・・。集中力が切れて来た。」
輝月
「甘いのぉ、お主は・・。」

っと、言いつつも輝月も息を整えている。疲弊しているのが丸見えだ。

キュー
「にひひ。皆疲れやすいなぁ〜。」
キュピル
「おめーは幽霊刀のお陰で疲れを知らないってのを知れ。」
キュー
「いたっ!あー!体罰だ!桜宮高校生徒全員の怒りを知れー!!」
キュピル
「んなローカルかつホットな話題持ち出すな・・・。」

キュー
「しょうがないなぁ〜。アタシは先に六階へ行っているぜ〜。」
キュピル
「おいおい、待ってくれ。そんなに急ぐと死ぬぞ。」
キュー
「にひひ、大丈夫だぜ。」
キュピル
「大丈夫じゃないっつの。」

キュピルがキューを引きよせ、無理やり抱きかかえて一緒に座らせる。

キュー
「むぅー。・・・なぁー、おとーさん。」
キュピル
「何だ?」
キュー
「琶月は何で突然こんな塔へ登るっと言いだしたんだろうなー?」
キュピル
「全くだよ・・・。どの階にも数体のモンスターの死体はいるって事は確実に琶月は俺達より先に塔を登っていて今もまだ生きているはずだ。
・・・でも、どうしてあの戦闘力皆無の琶月がこんな鬼神のような戦闘力を・・?」



・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・。






「あー、何か途中で神の力なくなりそうだわー。なくなるかもだわー。」
琶月
「え、ちょ、それ今本当に止めて下さい!!!」




続く


戻る